頑固オヤジ

前回の記事ではは「日本ボクシング界のタトゥー問題」を取り上げるなかで、「自分の存在を賭ける」という態度についてお伝えしました。

しかし「自分の存在を賭ける」という態度について、多くの人は「わたしは格闘家ではないから関係ない」という感想をもつに違いありません。

残念ながら「自分には関係がない」とあなたが思うなら、どれだけ貴重なアドバイスであれ、そのアドバイスがあなたの人生に役立つことはないでしょう。

そこで今回は「頑固すぎるオヤジ」について紹介するなかで、自分の存在を賭けるということはなにも特別なことではないということをお伝えしたいと思うのです。

忘れられない患者さん

医師の大橋博樹先生(川崎市立多摩病院の院長)は、「忘れられない患者」を語っています。

その患者さんは82歳の元大工さんで、糖尿病により10年以上、大橋先生のもとに外来で通院していたのですが、合併症として腎障害をおこしてしまったのです。

大橋医師は、医者としてそろそろ週に3回、1回4~6時間の人工透析を検討する時期になったことを患者さんに伝えるのですが、驚くべきことに「俺は絶対に透析はやらないよ、あんなのやるくらいなら死んだ方がマシだ」と、治療を拒否されてしまうのでした。

医者として「治療しない」という選択肢は受け入れがたいものだったため、大橋医師は「奥さんからどうにかして本人を説得してもらおう」と考えたものの、奥さんからも「あの人は、こうと決めたら誰が言ってもダメですよ。好きなようにさせてやってください」といわれてしまうのでした。

人工透析をすれば救えるはずの命を救えないジレンマに直面し、大橋医師は患者さんだけでなくその奥さんにまで「怒り」の感情をもったそうですが、奥さんからのこんな言葉を耳にして少し考え方が変わったそうです。

今まで何度もあの人の考えに振り回されてきました。でも、いつもあの人は本気なんです。それでどうなっても、自分で責任を取ってきました。私も始めはついていけないと、いつも怒っていました。でも、今まで私も後悔していないんですよね。正解なんて誰もわからないし、あの人が本気で考えているのだったら、私も受け入れようって思ったら、イライラしなくなったんです。

【引用:yomiDr.

本当にやりたいことは?

「忘れられない患者さん」は、治療を受けないかわりに『耐えがたい苦痛』という責任を負うハメになりました。同様に、タトゥーを消さずにリングに上がった井岡一翔選手は、JBC(日本ボクシングコミッション)から『厳重注意』を受けるハメになりました。

もちろん信念を捨てるかわりに実利を獲るという考え方もあります。例えば「なぜ君は総理大臣になれないのか」という映画に登場する小川淳也氏は、「安保法制反対」の民進党に所属していたものの、民進党が解党してしまった後の選挙では「安保法制に(実質的に)賛成」の「希望の党」から出馬しました。

小川淳也にとっては、自分の主義主張を貫徹するのであれば無所属で出馬するのが筋でした。しかし無所属で選挙に挑めば当選する確率がグーンと下がるという現実もあり、無所属で出馬するという選択肢を捨て、希望の党に合流するという選択肢を採用したのでした。

自分のやりたいことをやる場合には、多くの場合リスクがともないます。お金を失うリスク、地位を失うリスク、友人を失うリスク、など、さまざまなリスクにさらされることになるでしょう。

しかし「アドラー心理学」を優しく解説している哲学者の岸見一郎(著:嫌われる勇気などが有名)なら、きっとこういうに違いありません。「リスクをとってでもやりたいことが、本当にやりたいことなんじゃないですか?」と。

お金がほしい、人気者になりたい、痩せたい、、、、等々、いろんな人がいろんな願望を口にしますが、ほとんどの人は「●●したい」けど「行動にうつさない」という状況から抜け出せません。

なぜ?「●●したい」と言葉にするのに、行動に移さないのか?その理由はズバリ「リスクをとりたくない」≒「本当にやりたいことではないから」なのです。

失敗の連続

もしあなたが「本当にやりたいこと」ではなく、「本当にやりたいことだと錯覚していること」(以下、なんちゃってやりたいこと)に挑戦するなら、あなたには挫折が待ち受けているに違いありません。

なぜならば「なんちゃってやりたいこと」は、あなたに「我慢」や「忍耐」を絶えず要求するからです。もちろん「なんちゃってやりたいこと」で得られる成果が大きければ大きいほど、我慢や忍耐も大きいものになります。

大きすぎる「我慢」や「忍耐」を要求されるとどうなるでしょうか?ズバリ「挫折する」ことになります。少しでも前進するためにはやらなきゃいけないと頭ではわかってはいるけれど、カラダがいうことをきかなくなってしまうのです。

このような状況に置かれると、成果を諦めきれないマジメな人ほど苦しみます。なぜならば「挫折」≒「逃げる」≒「負け組」だというように考えてしまうからです。

「なんちゃってやりたいこと」で得られる成果を諦めてしまえば楽になれるし、「自分が本当にやりたいこと」に開かれるきっかけにもなるのに、どうしてもそれができないために苦しみ続けることになるのです。

もしあなたが苦しみ続けるのであれば、それは「なんちゃってやりたいこと」に過度な期待をもち続けていることが理由かもしれません。それでは今日もよい一日を!!!